ものづくり白書2020
今年5月末に経産省、厚労省、文科省連名で閣議決定され公表されました。
これを読むと、概要として今年は新型コロナウィルスによる中国のサプライチェーンの崩壊により、部品供給がストップしたり、それ以外にも自然災害や、米中貿易摩擦など世界の不確実性が増している。それに対応する戦略として
1企業変革力(Dynamic capabilities)の強化
2企業変革力を推進するDegital transformation の推進の必要
3設計力強化の必要
4人材強化の必要
企業変革力については不確実性の時代を乗り切るためだとして
ダイナミック・ケイパビリティとは、環境や状況が
激しく変化する中で、企業が、その変化に対応して自
己を変革する能力のことである。
と書いてありこれを推進するために「デジタル化」を進める。また、現場の熟練者の高齢化により匠の技にたよる限界を指摘して、設計力を強化する。それにも3DCADの推進などデジタル化が必要としている。人材の強化などは従来から言われてきたことである。これが、国がまとめた白書の要点らしい。あとは、たくさんのデータの羅列に過ぎないという感じでした。
これってどうなんでしょ?
何やら、真新しい用語やいかにも先進的な事みたいですが、デジタルなどを使うより前に変革すべきは、企業風土や社会構造などではないでしょうか?
私たち零細企業にとってみれば、相変わらずトップから一次下請け二次下請け孫請けなどを経て降りてくる仕事を待っている状態は変わらず。それも、利益があまりないにもかかわらず、技術的にはむつかしい仕事をこなし、そう、仕事をこなしているだけで、ビジネスになっていないけれど続けるしかないという状況が続くのは仕方がない。それも、周りの、町工場さんが次々と廃業し、だんだん修理や部品の供給してくれるところもなくなっていく。
少し大手の企業はというと、相も変わらず新卒一括採用をつづけ、年功序列も一向に無くならず。飲みにケーションなる言葉の元に若い芽を摘んでいってはいないでしょうか?。
そのうえ、商社さんあたりは、どんどん中国企業とのビジネスマッチングで中国製の商品を仕入れて、工業製品で日本製を見つけるのも難しい。まあ、うちなんかも中国で製造してますが、これから、だんだん国内製造だけでやっていくのは困難があります。
秩序の守り方
昔から、日本の国は年功序列、先輩後輩の関係を使って秩序を守ってきました。秩序を守るには規範が必要ですが、日本の国には宗教的な規範があるわけでもなく、そうするしかなかったのだと思います。
また、世界が目まぐるしく変わっているのに、日本の国の社会システムは昔からそんなに変わっていないところにコロナがやってきて、社会の矛盾がさらけだされたのは周知のことだと思います。以下のような本も指摘しています

コロナショックと昭和おじさん社会 (日経プレミアシリーズ)

同調圧力 日本社会はなぜ息苦しいのか (講談社現代新書)
では、これからどういう規範で社会や組織の秩序を組み立てるかという事になりますが、国家として規範を示しているわけではないので、各組織で作っていくしかないのでは?と思います。
これからのものづくり
むかしから、日本人は目の前にあることは、頑張れるけれど、あるべき未来像に向かってやっていくのはとても下手な民族だといわれてきましたが。その通りだと思います。日本のものづくりが後継者不足や、立ち行かなくなって廃業などが増えた今頃になって補助金だの支援だのとやっているのですから、手遅れでしょう。
因みに、2019年の日本政策金融公庫の調べでは60歳以上の中小企業の社長さんのうち、50%以上が将来的な廃業を予定しており、そのうち後継者難が全体の約3割であると言います。
これから、ますます、修理や部品供給元、はたまた材料供給元さえ次第になくなってくるかもわかりません。そのうえ少子高齢化では、国内製造の循環を元にもどすというのは無理じゃないでしょうか。
私は、製造することにおいては次のようにしていこうと思っています。
出来るだけ修理は自前でできるようにツールは揃えておく
部品、材料は海外調達の比率を増やしていく、しかしリスクは分散しておく
国内市場の縮小を考え海外拠点を作る
国内市場において、国内生産品が海外製品に勝てる唯一の強みは流通だと思っています。納期は輸入と比べて格段に速いですから、勝負できると思っています。少々高くても勝てるんじゃないかなと思いますがいかがでしょう?
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